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ほんの小さなほころびが「ブレイキング・バッド」シーズン4 #1~5

この記事は「ブレイキング・バッド」シーズン4 第1~5話のネタバレを含んでいます。

(▼前回までの感想はこちら)

まるで父子のような二人の関係「ブレイキング・バッド」シーズン3#10~13 - 感想ブログ

ガス・フリングの本性

シーズン4の出だしは、ジェシー・ピンクマンがゲイルを撃った続きから。「ブレイキング・バッド」の特徴のひとつとして、前の話の次の瞬間をきちんと描いてくれるというのがあります。そこが好き。

化学者としても優秀で人の好いゲイルはやっぱり助かりませんでしたね…。それしか生き残る道がなかったとはいえ、ジェシーが初めて人を撃ち殺して呆然自失なのがとにかく可哀相でした。

ゲイルを殺されたガス・フリングは激おこ。ラボに囚われたウォルターとジェシーの前に現れ、黙々と身支度を整え、手ひどく部下を殺します。その間、一言も発しないので緊張感がすごかった。無言の圧。静と動のギャップが恐ろしい。これまで単に頭が切れて料理上手なボスという印象だったのが、やるときはやる男、残忍かつ冷酷というイメージを強く植え付けるシーンでした。ウォルター達に勝手なことはもうさせないぞという強い意志を感じましたね。

 

ピンクマンの恐怖心 

ガスの凶行を目の当たりにしたジェシー・ピンクマンの演技がすごかったです。

それまで誰の言葉も耳に入らず虚ろな目をしていたのに、残酷な現実を突きつけられて「恐怖」、そしてすぐに「諦観」が瞳いっぱいに浮かんでいました。それからは黙々と手を動かして作業。普通にご飯も食べる。ガスに首根っこをつかまれて、何も考えずにただ与えられた仕事をするしかない。

だけど、仕事場から出ると恐怖心が襲ってきます。ジャンキーに逆戻り。ひとりでいるのが耐えられないから家に人をたくさん呼んで毎日パーリー。ほとんど知らない人だけど、お金があればどこからでも人が集まってくる。

頭をバリカンで剃って他の人の頭もジェシー自ら丸め始めたときには、このままカルトのリーダーになっちゃうんじゃないかと心配でした。気が付けばウォルターとジェシー、そしてマイクとみんな似たようなヘアスタイルになっちゃってますね。

マイクに連れ去られて「護衛」をさせられていた時にやっと「愛すべきジェシーが帰ってきた」感じがあって嬉しかったです。しかしガスの企みは謎ですね。直接ジェシーに手を下すとウォルターが仕事をしなくなるだろうから、もしかしたらジェシーを取り込んで内部から二人の仲を引き裂こうとしているのでは。ジェシーは単純(素直)だからまんまとガスの思惑通りに動いてしまいそうで不安です。

 

スカイラーが面倒くさい

ガス・フリングによる恐怖支配の描写が続いたので、スカイラーとウォルターが洗車場買収にあたって協力したり、ハンクにギャンブル狂であると嘘を付く演技の練習をしたりといったシーンが平和的に感じました。

「もう嘘は付かないでね」とスカイラーと仲直り。「わかった」と頷くウォルターは自分やジェシーの身が危険であることを隠してるわけですが。だけどその危険を伝えてもスカイラーは離れていくだろうし、より危ない目に合うかもしれないから黙ってるしかないんですね。麻薬の製造だけではなく、殺人にまで関わっていると知ったらスカイラーは完全に離れていくだろうし。個人的には余計なことばかりしでかすスカイラーが目障りなのでもう本当のこと言っちゃえばいいのにとも思いますけどね。

 

ハンクの帰還

退院したハンクは、ほぼ一日中ベッドで過ごす生活で別人のようになっていました。身体が思うように動かないストレスでマリーにつらく当たったり、鉱石を買い集めたり。そんなハンクとの生活でマリーもまたおかしくなり、また盗癖が出てしまって警察に突き出されてしまう。このあたり、見ていてかなりつらかったです…。でもケガの功名というか、それで市警の知り合いがマリーとハンクが厳しい状況であると察して、ハンクに捜査資料を持ってくるという。このへんの流れがスゴイ。因果関係がはっきりしているというか、バタフライ効果で話が進んでいくのが見ていて快感。

ハンクが見せられた資料はゲイルの殺人事件。ゲイル自演のミュージック映像DVD付き。ゲイル、亡くなってから見せられる映像でだんだん好きになっていくんですけど。取締官としての本分を取り戻すと同時にハンクがだんだんと昔のように精力的な人物に戻っていくのが良かった。

ハンクが元気になるということはつまり真実に近づいていく可能性が高くなることでもあり。黙っていればいいのにウォルターはつい口を出してしまいます。ハンクがゲイルを「天才」と評したことに我慢がならなかったというか、化学者としてのプライドが保身よりも勝ってしまったんですね。その言葉にひっかかったハンクが捜査資料を見直し、ゲイルに不似合いな「ロス・ポジョス」に気付いてしまいます。ベジタリアンでオーガニック主義な男が、油まみれのフライドチキンとは確かに不自然。スカイラーがシャンパンを買ったウォルターに注意したときの言葉「ほんの小さなことから露呈して崩れていくのよ」が効いてきますね。